
30年以前の大東亜帝国は現代のGマーチ以上の学力?
大学進学率の推移と受験人口の推移

当時の大学受験と比較して、現代は合格しやすく卒業しやすいと、良く聞いたり言われている。
30年以上前の殆どの大学生は現在マスコミが準難関大学等と言う国公立大及びマーチ群まで、人口動態から判断した場合にこれらの大学群に合格できてしまう。
つまり、世代人口に対する進学率で計算し、浪人生の上乗せもすくない為にこれらのポジションの大学に吸収できてしまう、簡単な算数の世界。
昨今の若者が、Fラン等と見下している様な大学でも、当時の中堅大学下位レベルまでの競争率は表面上40倍(実質8~10倍)と驚きの競争率の大学も多かった。
先ずは、過去60年以上前の18歳受験人口と大学数と大学進学率から判断すれば納得するであろう。
1954年以降の大学進学率のデータを文部科学省が公開している日本の大学進学率は、18歳人口の人口動態が団塊世代や団塊ジュニア等の大きな山を繰り返しながら減少して推移してきた。
1960年時点で、13.7%だった男子の進学率が2021年には58.1%まで増え、同時点で12.5%だった女子の進学率は2021年では51.7%まで増加した。
18歳人口は、1991年をピークに以降は、右肩下がりで人口が大きく減少傾向を辿っている。この様に18歳人口が右肩下がりで進んでいるにも関わらず、大学側の受入れ定員数は逆に大幅に増加している。

少子化に伴い18歳人口が急激に減少しているのに反して、1990年代以降にほとんどの各都道府県に公立大学が新設された。さらに、私立大の新設や新たに既存大学での多様分野の学部増設や既存学部の定員増などで在籍者数を増やしていった。
大学受験が受験地獄や受験戦争と言われた時代
大学受験が熾烈と言われた受験事情は、1979年度の国立大学の共通一次試験から、第二次ベビーブーマー世代の1993年頃まで熾烈な大学受験戦争が続いた。
共通一次試験とは、試験科目が国語・数学・理科・社会・英語の5教科7科目(理科2科目・社会2科目は選択制)合計1000点満点。また、受験生は自身の共通一次試験の結果を基に全国の国公立大学及び産業医科大学の中から1校のみの受験しかできなかった。
以降、当時は国立大学の受験を避けて3科目の私立大学を受験する私高国低(しこうこくてい)の造語ができた。
この意味は、偏差値水準で私立が高く国立が低いと言った意味だ(あくまでも3科目での算出)。
要は、国立大学を敬遠して私立大学の3科目受験にチャレンジする受験生が増えて私立大学が急速に難化していった背景がある。
当時の偏差値のスタンダードは、旺文社かライオン社が算出の偏差値ランキング表でコンマ単位での算出であった。のちに、スタンダード偏差値は長らく代々木ゼミナールに移行していった。
ところが、浪人生の激減から閉校する予備校が相次ぎ、ついに大手予備校の代々木ゼミナールも2015年に全国の7カ所の校舎を閉校することになり、長年大学受験生の偏差値指標のもととなる代ゼミ模試から撤退することとなった。
その後の、偏差値表記のスタンダードを河合塾に手渡し、現在は河合塾の偏差値表と進研模試ベネッセが受験生の参考偏差値が標準となっている。 偏差値の精度には各方面から様々な声があるのは確かである。河合塾の場合は、偏差値表示が2.5刻みで、偏差値47.5、45と言った表記である。
受験生の多くが浪人した時代

共通一次試験の施行により、1960年(昭和35年生まれ)の世代から私立大学がより一層難化を極め、大手予備校は黙っていても浪人生が入塾してくれる時代であった。
当時都内では、池袋には英進予備校、高田馬場駅には早稲田予備校や一橋セミナー、新宿には新宿セミナー等多くの予備校がひしめいており、代々木駅前には代々木ゼミナールの校舎が今よりもいくつもあった。
大手予備校が多く立地した高田馬場駅も浪人生だらけであった。現在は、当時とは対照的に、アジア人等の語学学生の留学生が多く見受けられ、当時の様な浪人生の様な姿はあまり見なくなった。
こんな時代が、団塊ジュニアと言われる第二次ベビーブーマー(昭和48年生まれ)が受験した世代まで続いた受験地獄がピークアウトであった。
好調であった日本の株式市場が大暴落し景気が急激に悪化しバブルが崩壊した1992年(昭和48年生)。
この時の受験生は、18歳人口が209万人とピークに達した。この頃までの4年生の大進学率は20%前後で、短期大学の進学を含めた大学進学率は1973~1992年までほぼ横ばいの26%前後で推移した。

※文科省の資料等を参照
2000年のデータを調査してみると、大学入学者数60万人のうち12万人が浪人生であった。2000年は5人に1人が浪人生だった。さらに調べていくと、1992年では3人に1人、そして1985年は2.5人に1人が浪人生という数字が出てきた。
この様に、大学受験が親世代以上の1970年代後半から1990年代中頃が、受験戦争と言われる程熾烈であった。
女子は、4年大より2年生女子短大に進学するケースが多かった
女子の場合は、4年生大学に進学するより短大や専門学校の2年生に進学した方が4年生の大卒よりも就職率が良く、職種も総合職では無く一般職が普通だった要因もある。
当時は、まだ総合職でバリバリ女性が仕事をすると言うより、20歳で大企業に就職して社内結婚を目的とされた腰掛就職等と揶揄された。1980年代の結婚適齢期は今よりも早く女性で23~25歳、男性で26~28歳頃だったと思う。この為、当時の女子短期大学の難易度は高かった。
団塊ジュニア以降の急激な少子化に逆行し1990年以降大学新設ラッシュ
その後、団塊ジュニアの大学受験前後の1990年代前半に各都道府県に○○県立大学等の公立大学や私立大学の新興大学の乱立。さらには、有名私立大学の急激な規模拡大による学部増設によるマンモス化。
旺文社の公表によれば、2022年の大学数(大学院大学を含む)は調査開始以来、過去最多となる807校。短大は前年比6校減の309校。
大学は約30年間で私立が2倍近くまで増加。1989年から2022年の比較では、私立大学364校から620校まで増えている。
一方、短大は1996年の598校をピークに減少が続いている。2012年度以降、学校数の減少ペースは多少落ち着いたが、今後も志願者減を背景にした学校数の減少は継続すると思われる。

準難関と言われる大学群が、少子化に逆行して学部学科が激増
MARCH(明治、青山学院、立教、中央、法政)の大学群の例。法政大学のケースでは、以下の通り、猛烈な学部増設に伴い、学生の受入れ数は激増している。
①1999年(平成11)国際文化学部、人間環境学部を設置。②200年(平成12年)現代福祉学部、情報科学部を設置。③2001年(平成13年)経済学部第一部国際経済学科を設置。④2002年(平成14年)社会学部第一部メディア社会学科を設置。⑤2003年(平成15年)キャリアデザイン学部、文学部心理学科、経営学部経営戦略学科、市場経営学科を設置。⑥2004年(平成15年)工学部システムデザイン学科新設。⑦2005年(平成16年)法学部国際政治学科を設置、経済学部現代ビジネス学科を設置。⑧2006年(平成16年)工学部生命機能学科を設置、10学科編成。⑨2007年(平成19年度)デザイン工学部を設置。⑩2008年(平成20年)理工学部、生命科学部、GIS(グローバル教養学部)を設置。⑪2009年(平成21年)スポーツ健康学部を設置。⑫2010年(平成22年)福祉コミュニティ学科を設置、 臨床心理学科を設置。⑬2011年(平成23年)理工学部創生科学科を設置等。
これは、早慶(早稲田大学、慶應義塾大学)、上智大学、マーチ(明治大学、立教大学、青山学院大学、中央大学)等の有名準難関私立大から中堅私大と言われる日東駒専(日本大学、東洋大学、駒沢大学、専修大学)や大東亜帝国(大東文化大学、東海大学、亜細亜大学、帝京大学、国士館大学)に至るまで大幅な学部増により定員数も激増している。
首都圏の大学だけではなく、地方の有名私立大学も同様に、小学校や中学校が廃校になり、公立高校が定員の縮小を実施しているのとは、真逆の政策で拡大路線をひたすら突っ走っている。
こうした背景を考えても、大学の受け皿が倍増して、受ける側の受験人口が半分になっているのは、親世代とは受験環境が大きく変わっているのが理解できる。
特に1990年代の前半から急激な新設大学の新設ラッシュで、短大や専門学校から4年生大学に変わっている新興大学が多い。
ここで、ゆとり世代や2003年以降に大学受験生だった世代を批判する訳では無いが、冷静にこれらの環境を考えれば現代の大学は、入りやすくなっているのは確かである。
著者は、1981年に大学受験を経験したが、子息の大学受験や11年間に渡る個別指導の学習塾を経営した経験から40年前の大学受験事情と現代では大きな違いを実感している。
急激な少子化により、推薦入学者が大学生の60%と一般受験組を越えた
もちろん全ての高校が同じ状況とは言えず、個人的な経験をもとに述べているので、誤解が無いように。
全国的に高等学校の生徒募集の現状は、大学の生徒募集と同様に少子化により生徒集めに必死である。
塾を運営していた11年間、毎年春から初夏にかけて、都内の私立高校や都立高校の教員が塾の授業が始まる2時から4時の間に突然飛び込み訪問してくる。
自校のパンフレット、進学実績の説明に来るが、私立高校が圧倒的に多かった。決まった様に自校の自画自賛とチャッチフレーズは「過去最高のマーチ、日東駒専の合格者数です。」と、毎年その数字は更新されて行く。
私も、「どうせ指定校推薦?」と問いかけると、訪問してきた教師は苦笑いで、もちろん指定校も多いですが一般も増えていますと自慢し、帰り際には「是非、生徒を紹介してください」と言って帰って行く。
これは、高校と大学の共存共栄のウィンウィンの関係で、私立大学の指定校推薦枠を多く取得することで、受験生に強みをPRし、大学側は専願推薦で一定の学生を確保して一般受験に向けた体制ができる。
特に、東京都内の高校、神奈川県、埼玉県等の首都圏の高校では地方の受験生に比べて、多くの指定校推薦枠を取得できて、学歴の地域間格差と言われている。
一般受験は、多くの受験生に他大学併願で蹴られてしまった場合に、補欠・補欠で追加合格者を出す必要に手間がかかりすぎる。また、この一般受験枠を狭めることで受験偏差値を上げこともできる等ダブルのメリットがある訳である。
高校が予備校化している?
ある都立偏差値50前半の高校の塾生に英語を指導して驚いたのが、新高校2年生で受験用の英文法の参考書や英検2級、受験用の英単語集を学校の授業と定期テストで実施している点だ。
偏差値50前後の都立高校では、親世代ではほとんどが高卒(差別ではありません)で、大学への進学者は珍しい事であった。
その高校の合格実績は、中堅大学の一角である東洋大学に40名(累計)前後の現役合格(推薦含む)、他の地区の同レベルの高校でも中堅大学の一角の東京経済大学に40名(累計)前後の合格者(推薦含む)を出している。決してこれが悪いと批判しているわけでは無いが、驚きである。
40年以上前に大学を受験した世代では考えられないギャップが存在している。
合格に至る勝因の背景には、2年間に及ぶ受験勉強を学校が予備校の代わりに指導している点。また、英検を定期テストで出題することで自主的に受験勉強をしなくても自然と受験勉強になっている。
つまり、大学によって英検2級を取れば実際の受験は免れ、且つ受験時に80点取ったとみなしてくれる。
英検2級+1教科(数学、国語又は社会)の2教科受験(ベスト2)、大学によっては3教科受けて一番良い点数の1科目(トップワン)で合否がなされる為に、合格しやすいし表面上の大学側の偏差値も1教科の偏差値表示で高く出ると言ったカラクリである。
また、時代も違うから仕方が無いが、我々の世代は公立の進学高校では普通に文系理系関係なしに、理科は(物理、地学、生物、化学)、社会(世界史、日本史、地理、政経、倫理社会)等を学習したが、現代は選択でこれらの科目は半分も学習していないらしい。
背景には、暗記中心の詰め込み教育が批判され、ゆとり教育(2002年~2010年初頭)を実施した時期があったが、学生の学力低下があまりにも激しく社会問題となり現在は止めた。
また、塾を経営していた当時に雇用していた大学生アルバイト講師が、たまたま、昨今急激に増加している単位取得型の高校卒であった。
その講師によれば、学内に予備校が入っていて受験科目しか勉強しない等、もはや本来高校で学習するのを投げて、英語等を強化して、僅かな科目勉強と汎用性の高い共通テストの過去問等で中堅以上と言われる大学に合格している。
従って、高校も3科目受験の私立高校卒で大学もこんな感じで、バランスが悪く極端に社会や理科ができない大学生徒講師も見受けられた。
もちろん、指定校推薦や付属校の内部進学の大学生の講師はNGで、とても生徒を指導できる学力水準に到達していなかった。もちろん、全てがこうした学生ばかりとは言えず、あくまでも個人的に経験したことを述べているわけである。
指定校推薦や総合型受験と一般受験の学力差が激しい
指定校推薦(指定校制)とは、大学が協定等で多くの高校(指定校)の生徒だけが出願することができる制度である。
かつては、数少ない指定校と言われる高校は地域の進学校と言われる高偏差値の学校に、推薦枠の数も少なく学内の定期テストが一定の水準が越えた優秀な生徒のみであった。
現在は、驚くような偏差値の低い低学力高校から上位進学高校まで幅広く、多くの高校に指定校枠をバラまいている。結果的に、一般受験ではとても合格できない学力水準の受験生が11月に合格を手にしている訳である。
塾で指導した受験生で、高校偏差値が48の都立高校で校内トップの生徒がいたが、ベネッセ進研模試で偏差値がなんと30台後半で専修大学の合格可能性がEランクであった。
この生徒から「塾長、専修大学あたりまでの中堅大学に入らないと就職厳しいよね?」とよく相談されていた。ところが、秋になり「塾長、成蹊大学と立教大学の指定校枠があると学校から言われて、どっちがいいですか?」と相談された。
この生徒は、11月中に、なんと立教大学法学部に合格したのであった。
正直、40年前の著者世代では、地方の進学高校(偏差値70)で上位30番の友人が東北大学と併願し合格したのを覚えている。また、地域2番手の偏差値62~65程の高校の先輩が、私立文系コースで学年トップの生徒が慶應・文学、青学・経済、立教・経済に現役で合格し、なぜか立教大学の経済学部に入学したのを思い出した。
これほどまでの、現在と昔では受験事情が違うのに驚愕せざるを得ない。
単純に、なぜこんなにも多くの大学が学力試験を無視した指定校推薦や総合型試験(旧AO)、付属校からの内部進学、スポーツ推薦等にひた走るのか?
受験人口の少子化は1992年をピークに右肩下がりで急激に減少し、2009年から2018年までほぼ横ばい傾向にあった。
2018年以降「2018年問題」再度減少傾向に入り、2032年には初めて100万人を割り98万人。2040年には約88万人まで減少することが確実になっている。
この人口動態は予想では無く間違いなく確定している数値である。
2024年もまだまだ続く、国公立大学の新設学部ラッシュ
大学の数や定員が減るどころか現在も既存大学で新学部の増設等どうにも止まらない状況となっている。
茨城大学で地域未来共創学環、宇都宮大学のデータサイエンス経営学、千葉大学の情報でデータサイエンス学部、熊本大学の情報融合学部、下関市立大学のデータサイエンス学部、高知工科大学のデータ&イノベーション学群、山口東京理科大学の工学部医薬工学科等と言ったところ。
これ以外にも多くの専門職大学の開校が目白押しとなっている。

続編は、偏差値の価値や各有名私立大学等の偏差値推移等を記載したいと思う。
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